帝一の國を観て:特筆すべき要素のない娯楽映画
全体的な感想
はじめに言っておくと男性も楽しめる娯楽映画である。クスッと笑える箇所もある。ただ注意点があるので後述する。
映画の出来はまあまあ、テレビ映えもする若手を揃えているし。
若手俳優注目株トップの菅田将暉は相変わらずなんでも出来る俳優だった。
いつもの日本娯楽映画
だれかに聞かれれば「面白かったよ」と言えるが、どこがといわれると「ない」と答えるのが今回見させてもらった「帝一の國」だった。
一人一人の演技は光ってはいたが、それは映画評論で取り上げるような話題性のあるような尖ったものではないし。
しかし先日の「大ヒット御礼!!」というニュースをやっていて、「そんなにか?」と思ったのが正直なところである。
「面白い」が「傑作ではない!!」のだ。 この「売れれば傑作!!」という体制が映画界の衰退を招いていたのではなかったのか?せめて新しい試みや表現を取り入れてほしかった。正直映画でやる意味はなかったし、ドラマで事足りるような内容であった。
対象は若い女性から
SNSでの拡散とイケメン俳優の話題性から、女子高生から上の女性をターゲットをしている撮り方は今に始まった事ではない。
ちらほらカップルもいた。そして本編が始まると劇場から嬌声とクスクス声。あれ、今笑うところだったか!?ギャグ的要素より俳優が演技するおバカな振る舞いに「やだあ、ほんとバカねえ・・・でもそこが可愛い(ハート)」に笑っていた。
しかし狙いすぎた媚は外す。孔明の語尾の「〜〜だにゃん」は劇場ではまっっっっっったく受けなかった。怖っ。何故かこちらが辛いではないか。確かに死ぬほど笑えるギャグでもないが、「シュール」は女性受けが悪いのか?笑いどころが違うせいで声を出すのも気を使う。
映画の生き死には女性が握っている
最近映画は年に1回見るかどうかだというニュースを見たが、わざわざ劇場まで足を運んで高い金を払って楽しむ贅沢品になってしまっているのだなあと感じた。それなら女性に確実に受ける俳優といつでも切り離せる原作付きの映画をとるわなあと。
たしかに原作はもともと面白い。が、取り上げた理由はぶっちゃけよくわからない。ただ、内容的に男同士で馴れ合うシーンが多いため「若手俳優、特に今旬の菅田将暉でできたら面白いよ〜絶対」って誰か一部が言っているような気がする。
何度も言うがここでいう「おもしろい」は男性と女性ではまったく違う。
ヒットの理由とは
あとは市場ニーズと照らし合わせれば簡単に作れるのだろうか。だから今真逆の映画を取る人たちを尊敬する。「無限の住人」はほんとに誰得なんだ。今時のキムタクの訴求力とニーズが漫画原作の実写化映画で元がとれるのだろうか・・・ - 俳優さえいいものを揃えば、あとは適当なゴーストスケープ的な監督に任せれば作れる狂った業界なのだと暗に言っているようなものではないか。
「シン・ゴジラ」と「君の名は」は当分超えられない
去年からのこの2大巨頭が映画界の価値をあげた。年に1作の割合でそういった「快作」が今後も観れたらいいなあと思う。
世界的な興行収入の差や評価の差はあっても、どちらかは日本人の心に残り、影響し続けるという面は、他の映画にはなしえなかった。
自分は映画が観たいのであって俳優が観たいわけではないのだ。少々脱線したがそのことが再確認できた「帝一の國」だった。
結論
DVDで2〜300円でみるのでちょうどいい映画。
もしくは女性同士のグループできゃいきゃい言いながら見る映画。
間違ってカップルで行くことになったら、男性諸氏は男同士の絡みをよくみて、終わった後の萌えポイントを彼女と共有してほしい。それが正しいこの映画の見方と思われる。幸運を祈る。